CEATEC JAPAN 2011 ──2011.10.04〜08──

家電とエレクトロニクスを扱った国内最大の展示会と言えば、毎年10月に開催されるCEATEC JAPANだ。2009年は3D対応カメラ、2010年は3D対応ハイビジョンテレビと、2年連続でステレオスコピック3D関連に注目が集まっていた。しかし、今年のCEATECはちょっと雰囲気が違うようだ。
Video Journal 11月号に提供した記事を再構成してレポートする。
(現地取材:秋山 謙一)

震災の影響が色濃く、「エコ」な内容の展示会に

 最先端IT・エレクトロニクス総合展示会であるCEATEC JAPAN 2011が、幕張メッセで10月4日から5日間の日程で開催された。今年の登録来場者数は172,317人となったが、昨年の181,417人に比べ9,100人の減少となった。昨年のCEATECは、CEATEC SuiteというBtoB活動に特化したスペースを7~8ホールに設けたため、展示会場は実質1~6ホールであった。今年は展示会場を1~8ホール全体に戻したため、参加者の減少以上にゆったりとした会場となった。
 毎年、家電製品の秋・冬モデルの新製品が展示されるのがホーム&パーソナルゾーンだ。今年のホーム&パーソナルゾーンは、3月11日の東日本大震災の影響もあり、各社ともブース内の派手な電飾や演出は抑え気味。幕張メッセの天井高は高いが、消防法の関係でブース装飾の高さ制限があるので、高さのある装飾はそもそも出来ないのだが、それにも増して今年はシンプルな作りのブースが多く、地味な会場に感じた。
 さらに、展示内容においても、電気自動車用で一般販売をしないリチウムイオン二次電池や、メガソーラープラント向け太陽電池パネルが展示されるなど、ホーム&パーソナル向けとは全く異なるものも大きく出展されているなど、例年とは異なる雰囲気の展示会場となった。
 今年は、2009年、2010年のように「3D」関連製品で染まることもなかった。むしろ、3Dの先のニーズ、4Kや4K超の解像度に向かって進み始めているようにも感じられた。

シャープがNHKと共同開発のスーパーハイビジョンを出展

SuperHiVision.JPG85V型液晶スーパーハイビジョン。プロジェクター視聴ではないディスプレイ表示としては初の8K4Kを実現。1/4サイズの40型クラスで4K視聴が実用に近くなったことを意味する。3Dの次は4K視聴がReadyだ。 CEATEC JAPAN 2011のディスプレイ関連の目玉は、シャープが出展した8K4Kスーパーハイビジョンの参考出展だろう。シャープがNHKと共同開発した85V型の液晶ディスプレイで、表示解像度は8K×4K、サウンドは22.2chサラウンドに対応している。このディスプレイを一目見ようと、で、ブース前に長い行列が出来ていた。
 85V型にもなると、対角線で2mを超える。幅1.9m弱・高さ1m強というサイズになるが、8K×4Kの映像はどんなに近づいても液晶のドットは感じられない。むしろ、実際に85V型ディスプレイの前に立つと、3Dディスプレイではないのにその没入感に驚かされた。実際のところ、家庭で85V型を使用するシーンは限られるだろう。しかし、面積1/4程度ならば、通常の家庭でも実用的な40V型・46V型。つまり、85V型で8K解像度を実現できるのであれば、40V型・46V型の4K解像度ハイビジョンテレビは投入時期待ちという段階に入ったということだ。
 2007年にRED ONEが登場して4年。カメラ環境や編集環境は、すでに4K対応は進んでいる段階。民生の視聴環境も4Kに向けて走り始めるのか? 4Kが普及したら、今度はフルHDの3D表示? それともスーパーハイビジョンで4Kの3D表示? いったいどこまでいくことやら……。

パナソニックが新3Dカメラレコーダーを出展

HDC-Z10000.JPGなんと5桁の番号が与えられた新3D対応ビデオカメラHDC-Z10000。コンバージェンス調整が可能で、3リング操作のレンズユニットが搭載されるなど、業務機に近い仕様となっている。 数少ない3D関連新製品の出展のなか、最も注目を集めたのがパナソニックの新カメラレコーダーだ。パナソニックは、ハイエンドアマチュア向けに新ハンディ型3DカメラレコーダーHDC-Z10000をブースで初公開した。12月1日発売予定で、市場価格は40万円くらいになる見込み。記録方式はAVCHD Ver.2.0。業務用ではなく民生用のデジタルハイビジョンビデオカメラとしているが、製品名はこれまでのビデオカメラにはない5桁の番号を採用。その力の入り用が分かるというもの。ズーム/アイリス/フォーカスの独立リングや、2つのXLR端子、コンバージェンス調整機構を持つなど、業務用カメラレコーダーに近いものとなっている。
 特に、コンバージェンス調整機構は、これまでのようにレンズ間距離を調整したり、センサーの読み出し位置を変えるものではなく、レンズユニットの角度自体を調整してコンバージェンスポイントを変更する本格的なタイプ。レンズ間距離を42mmにし、コンバージェンス調整機構を組み合わせたことで、最短距離45cmまでの3D撮影が可能になった。
 今回、このコンバージェンス調整機構を有効に活用するために手ぶれ補正も新しくなった。従来は、レンズの上下左右のブレ補正に加え、カメラの前後左右の回転にあたるピッチング/ヨーイングを補正するものであったが、HDC-Z10000では3D撮影における光軸周りの回転軸に対する補正も加えられ、視野の回転を抑えながら安定した3D撮影を行えるようにしている。
 民生機としては大きめの筐体だが、小型業務用ハンディカメラレコーダーとして利用するには必要充分な大きさ。ローバジェットながら3D制作しなければならない業務などで活用されそうだ。

(秋山 謙一)

(Video Journal 11月号向け提供記事から再構成)
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